表情の沈黙(आकारमौन アーカーラ・マウナ)

いよいよ明日から師走に入ります。今年もあとひと月ですね。ずっと暖かかった晩秋も急激に冬らしく寒くなり、からだもこわばりやすくなりました。
冷たい風にあたって、眉間や顔に力が入ってませんか?

ヨーガの伝統的な修行に「表情の沈黙(आकारमौन)」というのがあります。表情は喜怒哀楽などの感情をそのまま表しています。表情の沈黙は、表情に自分の意思や感情を一切表さないという修行です。ポーカーフェイスでいることのようですが、表情に出さないだけでなく、心の働きもともなわないという根本的なものです。いわば、内外共に完璧な沈黙のことです。

DSC_0047-この表情の沈黙、凄いんです。ちょっと試してみてください。眉間、頬、口などすべての顔の緊張を抜いてみます。すると肩や腕のからだの力が瞬く間に抜けていきます。さらに続けると、心の働き、思考がなくなっていく自分に気がつくはずです。煩わしい思いが多いときなどにやってみると、気分がすっとします。顔の力を抜くことは、瞑想にとても大切な要素なのです。

師走に入り忙しくなると、ついつい眉間など、顔にも緊張が入りやすいもの。夜静かに寝たいときに意識が興奮状態にあるとなかなか眠れないものですね。そんな時は、すぐさま顔の緊張を抜いて、眉間のシワを取り除きましょう。顔の力を抜くことて全身の緊張がとれ、心の働きも静まり、寝やすくなります。

顔の緊張を抜くだけでは解決しない時こそ、全身で行うアーサナの実践があります。 アーサナはヨーガの代表的な実践です。瞑想と直結する表情の沈黙と合わせて、是非やってみてください。

雄弘ヨーガの実践セミナーが開かれました(京都・嵐山)

時雨殿セミナー京都20151018小 (1)今年最後の雄弘ヨーガの実践セミナーが、去る10月18日(日)京都嵐山の時雨殿で開催されました。清々しい秋らしい晴天のもとで、たっぷり雄弘ヨーガを堪能しました。

テーマは最近、ワールドカップ・ラグビーでよく耳にした「ルーティーン」。五郎丸選手のキックのあの有名な構えですね。ルーティーンとは、決められた一連の動作、動きのことをいいます。

時雨殿セミナー京都20151018小(6)

雄弘ヨーガではかねてから、この動きのことを「作法」と呼んでいました。呼吸法には呼吸法の、体位法には体位法の、瞑想には瞑想の作法、ルーティーンがあるのです。

このルーティーンが決められたとおり寸分違わず実践されれば、極めて質の高い、そしてその時の目的を達成させることが可能となります。

時雨殿セミナー京都20151018小 (3)

こうした作法、ルーティーンを染みこませて、より充実したヨーガができることを体感することができました。

質疑応答も積極的に行われ、参加者全員で共有できたことも良かったですね。

最後に美味しい「木乃婦」さんの仕出し弁当を頂きました。

時雨殿セミナー京都20151018小 (5)
遠路早朝からお出掛け頂き、ありがとうございました。

秋を愉しむ呼吸

秋めいてきましたね。
猛暑だったのが忘れられるほど、過ごしやすくなりました。
比叡山20140922 (5-)
少し山手へ行くと色付きはじめた木々を見ることができますし、住宅地でも金木犀の香りが、そこはかとなく感じられるようになりました。

日本人は、古来より四季を感じて感性を磨いてきたので、私たち現代人でも、その感性を宿しているのでしょう。

淡く漂う花の香りは、息が粗いと繊細に感じることができません。まして、口呼吸をしていると、ほとんど感じられないでしょう。それは、鼻腔上部の上鼻甲介に嗅覚神経のセンターがあり、速く粗い息だとそのセンサーに外気が接しにくいというのが、その理由です。

秋の薫り、金木犀の香りも、おだやかなゆっくりとした繊細な鼻呼吸があってこそ、わたしたちにその香りを楽しませてくれますし、なによりリラックスできますね。

あまり忙しい生活をしていると呼吸も速くなるので、匂いに気付かないまま時期が過ぎてしまいます。
比叡山20140922 (8-)
良い時期になってきました。この時期に、おだやかなゆっくりとした繊細な鼻呼吸をはじめてみましょう。呼吸法に自信を持ってご指導できるのが雄弘ヨーガです。

一緒に秋を愉しむ呼吸をしませんか。

思想にのっとった実践

私がヨーガを実践してきた中において、一番大切だったものは、思想だと思っています。思想にのっとった実践であるからこそ、ヨーガたり得るのです。難易度の高いアーサナもやってきましたが、それも思想とともに歩んだからこそ、今の雄弘ヨーガがあると思っています。

インドのヨーガ史の中でも、様々な思想が展開されました。その実践が何を目的としているのか、何のために行うのか、現代でヨーガをする場合、歴史的ヨーガとどういう風に関わっているのか。ヨーガは思想と実践が一体のものです。ヨーガは伝統的思想的背景があることによって、ヨーガとなります。

8月31日のブログで、「ヨーガは心を養う手段」「精神修養」と書きました。これはまさしく、古代からのヨーガの本道です。日々、ヨーガに接する中で、この基本思想が定まっていれば、如何なる形にヨーガを展開しても、すべての実践がその手段となって、私たちを養っていくことでしょう。逆に、如何にもヨーガ的であっても、その基本思想がなければ、ヨーガは似非となってしまいます。

雄弘ヨーガの基本思想は、「呼吸法を中心にしたインドに起源と持つ伝統的実践法で、日本的感性で解釈し直したもの」です。日本人ですから、インド思想に偏らず、日本的感性を優先するのは当然のことです。ですから、インド的傾向の強いチャクラやナーディーなどのインド固有の難解な概念を多用することはしていません。
インド研修旅行2015_クシナガラ・ベナレス・デリー (186-)
そして、「健康法的側面を持っていますが、それは精神修養を底辺にして全身的生命レベルの底上げをした結果であり、対症療法による対治療法ではない」のです。ヨーガは、全人格的実践です。部分的な実践をしているようでも、すべて精神修養と深く関わる全人格的ヨーガとなっています。

呼吸を重視し、呼吸にはじまり呼吸とともに実践し、呼吸で完結するという雄弘ヨーガの仕方は、まさに精神修養そのものとなっているからです。

雄弘ヨーガは、精神修養というインドの古代から続くヨーガの基本思想を大切にした実践となっているのです。
こういう思想を展開するためにも、ヨーガの歴史や基本思想を理解することはとても大切です。少しずつ、日々の実践と共にヨーガの歴史や思想へも興味を広げてみませんか。

気功療法家の閆树芳先生と会談して

億万人瑜伽今日は、来日中の気功療法家、閆树芳(Angela Yan)先生とお会いして、ヨーガと気功療法について意気投合してたっぷり3時間話しました。
Yan先生のお父上は、先代と親交の深かった北京気功科学研究会の故 閆海先生で、『一億人のヨーガ』の中国語訳をして頂いた先生です。先生とお会いするのは、ほぼ20年ぶりです。

師匠が開かれた親交がこうして受け継がれたことをとても嬉しく思いました。先生は気功療法で小児がんなど難しい疾病に立ち向かい、目覚ましい成果を挙げられています。世界中をそのために飛び回っているにもかかわらず、日本からは要請されることはほとんどないそうです。

IMG_4720IMG_4722大学病院などでは、ヨーガもそうですが、気功療法など東洋の伝統が活用されることはまだまだ少ないというのがその理由ですが、とても残念です。でも技術だけではダメで、思想とそれに基づいた実践の融合した真の技術でないと人には通用しません。こうした話で考えを共有できたことは、とても有意義でした。
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記念に私は著書の『瑜伽身心安堵』(『心を鍛えるヨーガ』の中国語訳版)などを差し上げ、先生からはお父上閆海先生の御著書『中国伝統「気」の健康法』を頂きました。

今後、この関係がより発展して、ダイナミックに雄弘ヨーガをより多くの方々に届けたいと思いました。

ヨーガは心を養う手段

様々な目的でヨーガをされている方が多いと思います。ヨーガは懐が深く、私たちの目的を叶えてくれる力強い味方です。日頃の健康維持、運動不足解消、疾病の回復や精神的充実など、多くのことについて私たちを包括的に支えてくれるものです。
ナーランダー (30-) (2)
ヨーガは、その成り立ちからいうと、私は精神修養というのが一番近いものと考えています。個別の事象に対症療法的に働きかけるものではなく、私たちの根底から総括的に底上げするというものです。その過程で上記に挙げたような事柄についても、必ず何らかの果報があることでしょう。

世俗に生きる私たちが、それに取り込まれることのないように内面の充実を目指す。精神的充実によって心のステージが上がり、泥沼に咲く蓮のように、清い花を咲かせる力強さを与えてくれます。その手段が呼吸法、体位法、瞑想法に代表されるヨーガの実践です。
ブログ「泥中の蓮」

ちょうど枝を張った大木にはその枝葉と同等以上の根があるといわれるように、見えない地中に広大な根が張っているのです。ちょうどそのように、世俗世界に生きる私たちに内面世界の存在を気付かせ、その充実によって世俗もまた充実するのです。
(写真はナーランダー遺跡の巨大菩提樹)

『カータカ・ウパニシャッド』という古い文献に「神は人の孔を外向きにあけたので、内側を見ようとはしない。愚かなものは、外的世俗的欲望を追求するのに対して、ただ賢者のみが眼を転じて内なる自我を観る。」と説いています。これがヨーガの根底にある思想です。

私たちは外界に住む世俗的なものであるからこそ、内面世界の充実を心掛けたいですね。

太陽礼拝の体位 Surya-Namaskara-Asana

ガンジス川 (38-) (2)2012年4月28日の再掲ですが、プロセス画像と説明を追加しました。
動画はこちらのYouTubeから見ることができます。

12の体位が流れるように連続し、各体位を統合的に行うものですが、動作と呼吸がぴったりと一致するように実践することで楽に実践できると共に、呼吸の安定から瞑想的に実践することができるようになります。

1.「静かな一息」→「軽く一息」の後、息を出しながら胸の前で合掌する。手のひらが離れないように親指を交差させておく。
2.「深い一息」を入れながら肘を伸ばして合掌の手を真っ直ぐに引き上げて、身体の前面を開くように上体を反らせる。膝は曲げない。
3.息を出しながら、今度は上体を前屈させるように垂らす。手を着く場所は、両かかとと両手で正三角形になるような位置にする。
4.左脚は折るようにして右足を床に着けたまま滑らせるようにして、後方に「スーッ」と伸ばしていく。右足指は折り曲げておく。そこで「深く一息」を入れながら、頸椎→胸椎→腰椎→膝裏→つま先と緊張を辿って背骨を上から下へ反り下げる。
5.上体を戻してもとの位置に手を床につき、左脚を後方に伸ばして右脚と揃えて上体と両脚を一直線に保つ。
6.息を出しながら、膝を曲げて床につけ、お尻を少し後ろに突き出すようにした後、息を出し切りながら前方に重心移動し、ヒジを折って床に着ける。額、胸を床につけ、尻を上げるようにする。
太陽礼拝全体1-6
7.「深い呼吸」を入れながら、目線で顎を引き上げて背骨を反らせていき、ついで両肘も伸ばす。
8.息を出しながら、尻を高く上げて、アキレス腱、ヒザ裏、大腿部を辿るように充分伸ばしていく。さらに、息を出し切りながら、顎で引っ張りながら、背骨を反らせ、最後にアゴを引いてうなじを引き上げる。こうして、全身で三角形をつくる。
9.重心を足から手に移動させながら緩めて入息し、右膝を胸に引き寄せるようにして右足を両手の間の床に移動して腰を下げ、足が左右入れ替わった第4の体位となる。
10.上体を屈めて最初と同じところに手をつく。息を出しながら左足を右足に揃えながら、同時に、右膝を伸ばして上体を前屈させた体位をとる。
11.息を入れながら上体を起こして、胸の前で合掌する。更に「深い一息」を入れながら、肘を伸ばして合掌の手を真っ直ぐに引き上げて、身体の前面を開くように上体を反らせる。膝は曲げない。
12.息を出しながら上体を戻して、合掌した手を胸の前に戻して直立の体位(第1の体位)に戻る。最後に「軽く一息」→「静かな一息」→「各自の呼吸」に戻り、息を調える。
太陽礼拝全体7-12

送り盆

スイレン20150816- (4)この時期は立秋、終戦記念日、送り盆と季節と時の締めくくとなる行事が続き、それに関していろいろと考える時期ですね。

子供の頃は終戦記念日よりも送り火の楽しみが大きかったですが、ものごとが少しずつ分かるにつれて、多方面に考えられるようになってきたのを思い出します。

スイレン20150816- (3)昨日終戦記念日には、庭の花を切って仏壇にお供えました。

今日は送り盆、京都では五山送り火が執りおこなわれます。

そんな折、タイミングを合わせたかのように、自宅のスイレンが三輪三色咲きそろいました。

安穏を願う心も先祖を供養する気持ちすべての人に共通する願いです。
スイレン20150816- (2)
その想いを込めて1日過ごしたいと思います。

略式簡易版太陽礼拝の体位~腰痛と姿勢の改善を目指す~

2012年5月29日の再掲ですが、説明を追加しました。
Simplified Surya Namaskara Asana (1)
これは「上体の前後両面と膝裏を伸ばす体位」ですが、太陽礼拝の体位の重要な要素をエッセンス化した「略式簡易版太陽礼拝の体位」ともいえるものです。

雄弘ヨーガのスムーズで深い呼吸法にあわせて、胸を開き、背中を伸ばします。最後は、骨盤と背骨の要となる脚の裏側を調えるべく、しっかりと伸ばします。Simplified Surya Namaskara Asana (2)ゆっくりとしていますが、緊張の「極」と弛緩の「極」がバランス良く含まれていて、全身の活性化に効果的です。
また、形のみせかけの完成が目的ではないので、ゆっくりと各要素をよく味わって実践しましょう。下記に簡単に説明をつけますので、是非、やってみてください。

1.深い入息ににあわせて全身を反り上げる。Simplified Surya Namaskara Asana (3)この際、手指と足指のつけ根で床を押すように踏ん張ることで緊張の「極」が高まります。
2.ゆっくりと息を出しながら、手首で床を突っ張ることでアキレス腱-腰-背中を伸ばしこわばりをほぐします。
3.さらに深く入息しながら、ひざを伸ばし立ち上がる。かかとは床につけないで終始少し浮かべておく。Simplified Surya Namaskara Asana (4)
→ここで膝裏が伸びきらない場合は、10㎝ほど手を前方に移動するとやりやすくなります。
4.息を出し切るように、手首で床を突っ張ることで膝と脚の裏側を伸ばしこわばりをほぐす。
5.入息して手に重心を移し、息を出しながらもとの位置に戻る。そのまま呼吸を調える。Simplified Surya Namaskara Asana (5)

とくに2と4の箇所では身体の裏側のテンションが高まり、痛みを覚えますが、それはこわばりが強い証拠。とくに腰痛の原因の80%以上が膝裏や腰のこわばりです。また姿勢が崩れ、肩こりの原因になります。
細かい指導は割愛していますが、上記説明分をもとにして、呼吸の音とからだの動きをよく聞いて実践してください。

YouTube →http://www.youtube.com/watch?v=aBc8ylah3g8

人に伝える喜び

5人に1人が65才以上の高齢化社会と言われるようになりました。
雄弘ヨーガでも、先日のブログにも書いたように、非常に参加者の年齢が高くなってきています。30代、40代の方もおられますが、やはり比べると少数派です。

聖護院セミナー20131005-06 (11-)ヨーガにもいろいろな仕方があり、筋力強化に比重を置いたものやストレッチ的な要素を強調するものまで多種多様です。そのなかで、雄弘ヨーガは、かなり地味なところに位置していると思います。地味ということは基本的であるということです。

基本を非常に大切にするので、初心者も熟達者も共通した実践ができるのです。
呼吸法も体位法もその派手な部分に目がいきがちですが、私たちはそこで行うひとつひとつの動作や意味を大切にしています。これらがしっかりとした足場となって、心のヨーガが深まっていきます。

かといって、ゆるいヨーガをしているわけではなく、みなさんの調子に合わせて真剣に取り組んでられますし、何よりも積極的で明るいのです。年齢が高くてもみなさん若々しいのです。たとえ一緒に実践していても、ヨーガの深まり方は個々に違いがあるので、自分に合ったペースで進めていくこととができます。

自分のため、家族のためにヨーガを続ける方もいらっしゃいますが、特筆すべきは、60才を超えてから伝える喜びに目覚められ、指導者になられる方が多いことです。なんとなくしてきたヨーガも人に伝えるという別の視点が入ることで、その習得は何倍も深くなります。

ヨーガは年齢を超えて関われる素晴らしさがあります。雄弘ヨーガは見かけの派手さを超えた地味な、しかも芯に響くヨーガです。これから、指導者を目指す中で、ご自身のヨーガも新たなステップに入ることができます。今からが指導者になるベストタイミングです。

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