京都生まれの私は、幼い頃からお寺の境内が通学路であったり、遊び場であって、いつも三重塔や五重塔を目にして育ってきました。だからかも知れませんが、仏塔が格好良く見え、それを見ると妙にこころが落ち着いたりするのです。
さて、木造の仏塔である三重塔や五重塔。最も古いものは法隆寺の五重塔で、現在の建物は710年ごろのものだそうです。実に1300年以上、安全に立ち続けているのです。関東大震災の時も阪神大震災の時も、ほとんど損傷はなかったそうです。なにしろ、世界最古の木造建築ですから、すごいものです。
全国には歴史的に500箇所以上の仏塔があったそうですが、そのうち、地震で倒壊したのはほとんどなく、雷火や戦火による焼失がほとんどです。その秘密は、心柱にあるのだそうです。
現在の建築基準法では、必ず、下階から上階まで貫く通し柱が必要なのですが、五重塔には、心柱はあっても通し柱はありません。そのうえ、通し柱は大地の部分の他、建物ものとつながっているのは最上階の相輪の部分だけで、基本的に建物を支えるためのものではないのです。にもかかわらず、塔の天地を貫いていることによって、制振効果があるというのです。
仏塔は各層が独立して作られたものが重ね合わされてできているので、外力がかっても一度に五重すべてにかからず、分散して、スネークダンスのようにうまく揺れを吸収するのだそうです。その揺れのダンパー効果となるのが心柱なのです。
この日本で作り上げられた特別な工法は、いまや、東京スカイツリーにも応用されています。なんと、スカイツリーには直径8メートルの心柱が収まっているのです。
こうした心柱は、私たちのからだでは背骨に該当しています。背骨でいうと、骨盤部分と頸椎うなじ部分で天地を縛るように支えています。骨盤はさらに、大地とつながる足によって、大地-足-骨盤-腰椎-胸椎-頸椎となっていて、そのしなりによってバランスを取っているといえます。
ところで、雄弘ヨーガでは、うなじの実践を特に重要視しています。うなじを引き上げる実践によって、全身が吊り上げるようになり、心柱である背骨にハリを持たせることができるからです。うなじを引き上げれば、プラーナ、アパーナの気がの運行がスムースに行えるだけでなく、首が前に突き出たような猫背姿勢から理想的なS字に戻すことができます。スイカほどの重さのある頭部が背骨上に位置することで、からだの負担を少なくするだけでなく、芯を定めることができます。
うなじの引き上げは、からだのバランスだけでなく、こころの中心軸を築き上げる役割も担っているので、からだが心柱の定まった仏塔に近づくことによって、こころが鎮まって落ち着きをとりもどし、本当の自分を見出すことに一歩近づけるようになるのです。



