空は広かった

関東に移り住んで20年以上、人生の半分をこえました。
如意ヶ嶽、鴨川、数多くの寺院に囲まれたのが、ふるさと、京都です。

東京に出てきた当初は、いつも接していた山、川はなく、寺院もとても少なく、ショックを受けたのを今でも覚えています。
その後、なぜか埼玉に住まうようになって、少しずつ関東の良さが分かるようになってきました。

一番嬉しいのは、なによりも空が広いことです。
少し足を伸ばせば、巨大な荒川や利根川も手の届く範囲にある、、、。いつも身近にある広大な空は、こころを解放し、全身の緊張を解いてくれる何かしら不思議な力を感じます。

子供の頃、父(先代雄弘師)によく星を見せてもらいました。月、木星、オリオン座の星雲など、様々な天体観測を教えてもらいました。土星の輪が見えた時は感激でした。

そんな経験からでしょうか、星空に限らず空を眺めると、偉大なものに包まれた感じというか、自分の小ささというか、自分の意識も宇宙大に拡張していく特別な体験をすることができます。

変性意識ともいわれるこういう状態は、瞑想時の意識状態で、格好良くいうと禅定三昧にあるといえます。

それが実感できると、ビルの谷間から見上げる狭い空でも同じことが感じられるようになります。
ビルが立ち並ぶ中でも、空を感じたり、壁面を照らす陽の光に太陽のエネルギーを感じられるのです。

以前のブログで「遠望視」に触れましたが、近視眼的にならずに遠くを眺める。こころの健康には、とても大切なことです。

秋は空が澄んで眺めるのに最適な時期です。星もたくさん見えます。
こころが窮屈になった時、なにか行き詰まった時に直接的に何かを期待せずに、唯々、空を見上げてください。

きっと、普段の意識では見えなかった何かに気付くでしょう。

『季刊SORA』 2012年秋号 10月発売!
空と天気についての季刊誌。
以前、私の本を手がけて下さった元講談社の編集者の方がつくってられます。