本来の意味を理解する

ヨーガもマインドフルネスもストレス・マネージメントの手段として、大いに流行しています。でも本来はそのようなものではありません。いずれもインドの長い歴史で育まれた精神修養法なのです。

マインドフルネスについては、1921年に発刊されたPali-English Dictionary にパーリ語”Sati”の訳語として使用されています。実際はもっと以前から訳語として使われています。
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マインドフルネスとして行われる実践のひとつに「瞬間瞬間の呼吸波に意識を向け続ける」というものがありますが、これは、仏教瞑想のひとつ、「入出息念定」〔āna-apāna-sati アーナーパーナサティ〕で、この最後のsati 〔気付く〕を使ったものです。呼吸の波をその時々の判断はしないで観察し続けるという、呼吸の波を対象とした観察瞑想です。

ヨーガも流行として「ヨガ」と表記されることが多いですが、サンスクリットのデーヴァナーガリー表記”योग” の正しい発音は「ヨーガ」。仏教で漢訳されて「瑜伽(ユガ)」が正しいです。こちらも流行とは無関係の心の動きをコントロールするための修行の道を表しています。

ヨーガの元の意味は、古代のインドで「牛に軛をつける(くびき)」という意味で、農耕の準備をするという意味からきています。転じて、「手綱を持って牛馬をコントロールする」となり、心が乱れないように「心の働きをコントロールする」となったものです。ちょうど下の写真のような姿になります。※牛のうなじにある横木のことを軛といいます。

いずれの場合でも、本来の意味を理解しておけば、理解を違えることはありません。そういう意味でも、原典に還ることは大切ですね。

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